早稲田神社

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日本のしきたり / 2019.08.26 更新
初秋と風 「災害と祭り」

先日、境内の階段を下りていると、あれは夏休みの部活の帰りでしょうか、制服姿の学生さんが、坂道を押していた自転車をきちんと停めて、お宮の方へ手を合わせて丁寧にお辞儀をされている姿を見かけました。
とても良い光景でした。今の若い方がこんなにも日本のこころを持っていらっしゃる。
一瞬、夏の暑さを忘れるような清々しさでした。

ここ、早稲田神社の境内には、心地の良い風が吹いています。
みなさま、いかがお過ごしですか。早稲田神社通信です。

「風災(ふうさい)と風祭(かざまつり)」

8月も残すところあと数日となり、暦のうえでは秋です。少しずつですが暑さも和らいで来ているのではないかと思います。9月は「長月(ながつき)」といって、日に日に夜が長くなってゆったりとした時間を過ごせるようになります。早く涼しくなって、秋空の雲の風情を感じられるようになりたいですね。

とはいえ、9月になると台風の多い季節でもあります。立春から数えて210日目であることから9月1日ごろを「二百十日(にひゃくとおか)」などといい、この日に風祭りを行う地域も多いそうです。
また、9月11日ごろは「二百二十日(にひゃくはつか)」といい、農家の厄日とされています。
各地ではこれらの日が、ちょうど稲刈りの時期と重なるため、農作物の被害を風災から少しでも守りたい、そんな思いから、風を鎮めるための祈願をこめての祭りが全国に残っているようです。
広島は、幸い風災などの被害は比較的少ない地域のためか、風祭りの風習はあまり馴染みがないように思いますが、機会があれば観てみたいものですね。

風祭りの代表的なものに、越中富山の「おわら風の盆」があります。
石畳の続く道に雪洞(ぼんぼり)の灯りが幾重にもともり、光と影が淡い幻想的な風情を醸します。胡弓のなんとも切ない音色を伴奏に、編み笠で深く深く顔を覆い隠した男女が、ゆっくりと練るように踊り進む姿にはため息が出るようです。まさに幽玄の世界そのものです。

この盆踊り、去年は広島でも観ることができたようです。また機会があるといいですね。

盆踊りの美しい画像はこちらでもご覧いただけます。ご興味のある方はぜひ。

http://www.yatsuo.net/kazenobon/ http://nagisabiyori.com/owarakazenobon

ちなみに、9月1日は関東大震災が発生した日で「防災の日」でもあります。
この時期にいまいちど身のまわりを整え、いざというときの対処に備えておくと安心ですね。

年を追うごとに暑さはますます厳しくなっているようで、それとともに被害に関連するニュースが連日のように伝えられています。近年の異常気象から、今年は既に台風の発生が度重なり、各地に被害がおよんでいます。
防災対策をきちんと取りつつも、引き続いて暑さ対策もまだまだ気が抜けない感じです。
夏の疲れもあいまって、どうぞ体調を崩したりなさいませんようにご自愛下さい。

なお、9月1日は月次祭です。「二百十日」と「防災の日」の折に、ぜひご参拝下さい。
引き続いて「あおぞらふれあい市」も開催いたします。作家さんの出店等、盛りだくさんです。当日は、定例の時間帯10時から16時となっております。どうぞお間違えのないよう、みなさまお気軽にお越し下さい。