早稲田神社

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神事や祭礼・早稲田神社について・日本のしきたり / 2019.09.09 更新
月と風情と 「観月」のいろいろ

ふと空を見ると、長いながいひこうき雲が、くっきりと尾を引くようにたなびいていました。見上げれば空は秋の気配。すじ状の雲が広がり、空は高く。空気が澄んでいるのを感じます。

飛行機が、ぴったりと雲を引っ張っているときは、上空の空気が冷え込んでいるから。涼しくなる兆しなのだそうです。
このところ、蒸し暑い日が引き返して来ているので、空からの嬉しい知らせです。
でも、ひこうき雲は天気の下り坂とも。ひと雨ごとに涼しくなるとはいえ、また長雨にならないと良いですね。

ここ、早稲田神社の境内では、広々とした空が広がっています。
みなさま、いかがお過ごしですか。早稲田神社通信です。

「Harvest Moon(中秋の名月)」

9月は空が澄み、月のきれいな季節でもあります。
欠けゆく月を惜しみながら愛でる習慣は、古くは平安時代に遡ります。
平安貴族が中国の「観月」に倣い、庭の池に月影を映し、月の満ち欠けに美しい名前を付けて愉しんだのが始まりだそうです。
平安貴族の風雅が、いつの頃からかその年々の豊作に感謝して、収穫物を月に供えるという風習に変わっていったのが、中秋の名月のお月見の習慣です。

満月は豊穣を表し、この時期はちょうど収穫のシーズンです。
十五夜の満月にちなんで、丸い月に見立てたお団子を15個、そして稲穂に見立てたすすきを15本。それぞれを飾って月の満ち欠けを愛でる。どうやらそれが日本独自のスタイルになっていったようです。

ところで、欧米でも月を愛でる習慣はあるのでしょうか。
日本でいう「中秋の名月」のことを、アメリカでは「Harvest Moon(ハーベストムーン)」といいます。
収穫の季節、実りの時期の満月のことをそう呼ぶそうです。
農作物の収穫作業を行う農家の人々を明るく照らしたことから、この「ハーベストムーン(収穫の月)」という名前がつけられたのが由来とのこと。
Neil Youngの有名な楽曲の中にHarvest Moonという曲があります。
ゆったりとした音調に載せた歌詞は、月明りの中で踊る恋人たちをイメージしています。ご興味のある方は、どうぞ聴いてみて下さい。秋の夜長を寛ぐのにぴったりの曲です。


欧米では月そのものを眺めて楽しむというよりも、どちらかというと月光や月明りを意識した感覚の方が強いのかもしれません。
自然を感じるこころも、日本人の静に対して欧米人の動。それがこんなところに顕われているようです。

以上、今回は欧米文化との違いを交えての、風情の楽しみ方でした。

ちなみに2019年の中秋の名月は、9月13日(金)です。
今年は、初夏と初秋に突発的な驟雨が続きました。涼しくなるのは嬉しい反面、不思議なお天気にとまどいます。
きれいなお月さまを見ることが叶うかどうか。さて、月に願いを。

【ご案内】
この日、早稲田神社では、「観月祭」が執り行われます。
毎年恒例のお月見祭です。
雅楽や篠笛等の伝統芸能に加えて紙芝居等の演目もございます。
お弁当とお団子をお楽しみ頂きながらの伝統行事となっております。
日本古来の風流を、この機会にぜひ身近に。みなさま、ご一緒に楽しみましょう。

■早稲田神社「観月祭」
9月13日(金):18時~21時
詳しくはこちらをご覧ください。
http://wasedajinja.jp/観月祭-2/

なお、本年度の受付は9/1をもって終了いたしました。
ご参加のお申込み有難うございました。